3月。僕ら6人の卒業旅行は、大きなレンタカーに気分のいい音楽といっぱいの荷物を詰め込んで始まった。大学生の旅行となれば、海外など華やかな目的地が主流だが、“渋い”能登半島をチョイスしたのにはワケがある。何しろお金がない。そして「卒業旅行」と銘うっているのに、卒業しない奴が2人もいた。
ホームタウンの静岡を出発したのは夕方。
もちろん有料道路は使えない。長い長い車中で一番沸いたのは学生時代のエピソードにまつわるしりとりだった。日付が変わるほど夜も更けてくると、運転席と助手席をのぞいて、高らかないびきをあげて眠りこける。
太陽が昇る頃、一人、またひとりと目を覚まし、視界に飛び込んできたのは日本海。なじみのある太平洋とはまた違った雰囲気に歓声があがる。千里浜なぎさドライブウェイをかわるがわる運転した。波うち際まで走ると、レンタカーは砂まみれ。一同笑いながら「こりゃ、やばいね」。はまぐりもサザエも売っていなかったが、オフシーズンでも僕らにとってこの砂浜は楽しさでいっぱいだ。
明日からは貸しロッジで自炊をしなければいけない。宿らしい宿に泊まることができるのは能登でだけ。気さくな女将のおもてなしと全員で入る風呂は、寒さと道中の疲れを癒すにはもってこいである。夕食の蟹・白子・治部煮はどれにもそれぞれ歓声があがる。ビールは進み、満足感いっぱいで床につくと、みながすぐに寝入ってしまったものだ。
翌朝、窓を開けると一面は雪化粧。雪吊りをされた松が白く輝いていた。「すげえな。こんなきれいな景色、見たことないぜ」。
全行程1,700キロ。旅も終わりに近づく頃には、みんな感慨にふけっていた。誰からともなく「またこのメンバーで能登に来ような」。
能登には、お金では得ることのできない思い出が詰まっている。今でも顔を合わせるたびに卒業旅行の思い出話に華が咲く。いつかまた6人で能登に“卒業旅行”に行ける日を楽しみにしながら。
静岡県 鈴木様
【事務局評】
学生時代の友人との卒業旅行は、一生の思い出ですね。卒業旅行に参加したものの卒業できなかったお二人は、もう卒業できたのでしょうか(^^;
それにしても、全行程1700キロとはすごい距離!!社会人になると、同じ行程では時間的にも体力的にもきつそうですね。静岡からだと静岡―小松便を利用して石川県に入り、小松空港から能登までドライブすると、時間が節約できますよ。
もしくは、羽田まで行って羽田―能登便に乗るのも早いです。ぜひまた同じメンバーや、ご家族で遊びにいらしてくださいね