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「世界農業遺産級の地酒」




 新年明けましておめでとうございます、管理人Fです。
 冬はグルメの季節!寒ブリ、カキ、カニなどなど、おいしいおいしい食材がいっぱいです。
 みなさん、食べ過ぎたりしていないでしょうか。
 そして、おいしい料理に欠かせないのが旨い酒!
 今回の「のとホットライン」は、管理人Fが能登の地酒をレポートします。
 
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すぐそこは美しい宇出津(うしつ)港



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これぞ「竹葉 あばれ祭りラベル」!



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技と経験を磨き「今が一番おいしいお酒」に



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おいしいお酒を仕込み中。お酒のタンク!



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竹葉ができるまで



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ぐいぐい飲める竹葉



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日本酒業界で日本一若い社長!


【古き良き風土に囲まれた酒蔵!】
 能登空港から車で30分ほど行くと、風光明媚な宇出津(うしつ)港。ここは、夏には有名な「あばれ祭り」があり、キリコと呼ばれる大きな箱型の灯籠(とうろう)を担いで大松明の火の粉を浴びて乱舞し、お神輿を海や川に投げ込んで暴れる勇壮な祭典が行われます。春には盛大な「宇出津曳山(ひきやま)祭り」も催され、なごやかな風景の中に熱い魂を持つ人々が住む地域です。

 そんな宇出津で、お父さんたちが「数馬の手伝いをするか♪」(お酒を楽しむ口実として、数馬酒造の売上に貢献するという意味)と晩酌で愛するお酒があります。それが宇出津曳山祭りで、「酒は名高き、数馬の竹葉」と歌われる数馬酒造の「竹葉(ちくは)」です。

 地元の人々が楽しむ時、そこには竹葉があります。「あばれ祭り」の時には、「竹葉 あばれ祭りラベル」の「二本縛り」を手土産によその家で“よばれ”(他のお家にお邪魔してごちそうをいただく習慣)、帰京の際にはお土産にする方が大勢います。

 そんな銘酒「竹葉」を醸造する、数馬酒造社長の数馬 嘉一郎(かずま かいちろう)さんは、「地元に認められてこそ、自信を持って勧めることができる!」といいます。

【職人の技が冴えるお酒づくり!】
 熱い地元の人々に認められ、愛される竹葉は、どのようにできるのか。酒の道20年、杜氏(とうじ)の四家 裕(しやけ ゆたか)さんにお話をうかがいました。

 まず、酒づくりは、精米したお米を洗って水に浸し、蒸すことから始まります。蒸したお米を冷やすのは、空気が最も冷たい明け方が一番。酒づくりの一日は、朝5時半からスタートします!

 蒸したお米は、“麹(こうじ)づくり”と“酛(もと)づくり”、そして“仕込み”に使います。
 お米のデンプンをブドウ糖に分解するのが麹です。麹づくりは、蒸したお米に麹菌を加えて、温度と湿度を一定に保った部屋で寝かせます。ただ、2時間おきに温度・湿度のチェックが必要なため、ほとんど寝ることができません!
 寝かせた麹は、酛づくりと仕込みに使います。

 酛は、蒸したお米、麹、仕込み水(醸造用の水)を混ぜたものに、酵母菌を加えてつくります。ここで、ブドウ糖を食べてアルコールに発酵させる酵母菌が、元気にいっぱい育ちます!

 そして、いよいよ仕込み!蒸したお米、麹、酛、仕込み水を混ぜ合わせて、醪(もろみ)をつくります。仕込みは、麹菌がお米のデンプンをブドウ糖に分解する働きと、酵母菌がブドウ糖をアルコールに発酵させる働きを調整する作業です。

 お米は天の恵み!お米がブドウ糖に変わるスピードは、その年のお米の出来によって変わります。酵母菌は生き物!酵母菌がブドウ糖を食べてアルコールにする発酵スピードも、その酵母菌の元気度で変わります。
 この2つを仕込み水の量などで調整し、おいしいお酒をつくるには、材料、そして酒づくりの工程を知り尽くした職人の経験と技が不可欠なのです!

 この後、醪を搾って酒と酒粕に分離する“上槽(じょうそう)”、搾ったお酒の微細な粒子を沈殿させる“おり引”、さらにその微細な粒子を取り除く“ろ過”。そして、酸素や酵母菌などを取り除いて殺菌する“火入”、びん詰まで寝かせる“貯蔵”、“びん詰”の工程を経て出荷されます。

 四家さんは、「酒づくりは、家族と離れて1年の半分をお酒とともに過ごす仕事」といいます。職人はお酒と密着して生活し、経験と技を磨きます。竹葉は、昔からの技術を継承するだけでなく、日々積み重ねた経験と磨き抜いた技から生まれる「今が一番美味しいお酒」。現在進化形のお酒だからこそ、熱い地元の人々に認められ、愛されているのです。

【オール能登の酒づくり!】
 おいしいお酒には素晴らしい材料が不可欠!
 まずは“お水”。お水は地元の柳田(やなぎだ)の湧水!この湧水は軟水で、そのおかげでまろやかなお酒に仕上がるそうです。
 次に“お米”。お米は、地元で作る能登山田錦(のとやまだにしき)や、石川県でしかつくられていない石川門(いしかわもん)をメインに使っています。杜氏さんは、10月から3月はお酒をつくり、4月から9月は米づくりという形で酒づくりを続けています。おいしい酒づくりに必須の“酒造好適米”を、能登の風土で精魂込めて育てているんです。
 
 能登の里山里海は、平成23年に新潟・佐渡とともに、日本で初めて「世界農業遺産」に認定されました。美しい景観、守るべき技術や伝統文化など、農業に関わる全てが評価されました。そんな土地で育まれたお水やお米は、間違いなく最高です!

 そして、自然と深く結びついた土地で育ち、能登の気候を知り尽くす“職人”。この土地の気候を肌身で感じながら育ち、酒用のお米を自らつくる杜氏さんは、酒づくりの風土を知り尽くしています。また、なごやかな風土とともにお酒を思いやる心を育み、「あばれ祭り」などの伝統行事を通じて過酷な酒づくりに耐えうる気質を養いながら、経験と技を磨いてきました。まさに、土地柄が人柄をつくり、その人柄でお酒がつくられているんです。

 世界農業遺産が培った”お水”、”お米”、”職人”を原料にしたオール能登の地酒。杜氏の四家さんは「風土がお酒をつくる」といいます。竹葉は、世界農業遺産級の銘酒なのです。

【美味しい能登のお酒を飲もう!】
 その日、帰宅した管理人Fは、さっそくおみやげに買った竹葉で晩酌しました。まろやかで透明感のある味で、ぐいぐい飲んでしまいました!竹葉は、インターネットや首都圏では有楽町の「加賀・能登・金沢 江戸本店」でもお求めいただけます。ただ、一番おいしい飲み方は、やはり竹葉をつくった地元で飲むことです。

 社長の数馬さんは日本酒業界で日本一若い社長。「米を磨き、蔵を洗う、心を磨き、酒を醸す」をモットーに、熱心に酒づくりに取り組む一方、若いだけに感性も豊かです。その社長が日本中を飛びまわるなかで感じたことが、「都会はつくることができるが、田舎はつくることができない」ということだそうです。他にはない、ここだけの美しい景観やゆったりとした生活スタイル、それが田舎です。

 みなさんも、田舎の恵みのなかで、その土地でとれるおいしい食材と一緒に、その土地の酒を味わってみてはいかがでしょう。きっと満足できるオンリーワンの旅になるはずですよ!
 
 




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