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日本海に突き出ている能登半島は、北からのリマン寒流と南からの対馬暖流が能登半島の外浦でぶつかり合う。流れを止められ行き場を無くした二つの海流は、能登半島のふところとも言える内浦へと流れ込み、暖流は富山湾の上層へ、寒流は1000メートルを超える水深を持つ富山湾の下層へと流れ込む。
荒ぶる外の顔と穏やかな内の顔。全く異なる二つの風景が外と内とにあるように、能登半島は外海と内海、二つの海を持っている。寒流に棲む魚も暖流に棲む魚も、海流を漂う魚も穏やかな海域を好む魚も、全部まとめて能登半島には集まっている。能登は、味にこだわりを持って日本中の海の食材を熟知している料理人や食通、釣り人たちにとって羨望の地となっている。
地図を開けば能登半島の海岸線には、途切れることなく漁港の名が連なっている。大小さまざま、それぞれに独自のスタイルを築いている。外海では、時化(しけ)の続く冬の季節はわずか10日ですら海へ出ることは叶わない。ひとたび凪(なぎ)が来れば、24時間、寝る間を惜しんで船を出し続ける。一方、内海の漁場は穏やかで、毎日のように海へ出かけて漁をする。田を作るように牡蠣棚(かきだな)を持ち養殖をする。桜の花が散る頃に稚貝を植えて、冬の季節に収穫をする。
能登に冬がやって来ると、旅人の舌も大いに歓ぶ。カニ、カキ、寒ブリ、甘エビとニッポンの冬を代表する贅沢な食材が、新鮮なまま余すところ無く食卓に並び口へ運ばれる。「冬こそ能登へ」、まさに誰もが心からそう実感する瞬間である。
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