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身は濃厚な味わい、カニ味噌がタップリ詰まった輪島産のズワイガニ。一番の特徴は殻の柔らかさ。外国産とは明らかに違う。当然、輪島産ズワイガニの人気は高い。実はその多くを金沢の仲買人が買っていき、近江町市場などで並べられる。輪島港から金沢経由で改めて輪島へ運ばれ、料理として出されることも珍しい話ではない。
しかし輪島ならではの愉しみ方はちゃんとある。4〜5℃に保たれた水槽を持つ旅館へは生きたままのズワイガニが届けられる。なかなかお目にかかることができないカニ刺しは、こうした場所でようやく口にすることができるのだ。あるいは朝市へ行く。朝市では漁師の奥さんが露店に立って、生のままカニを並べて売っている。人で溢れる賑わいの中、輪島産のズワイガニを自分の目で確かめて買っていくのも旅の愉しみの一つだと思う。カニ選びのポイントの一つが、甲羅に黒い斑点がたくさん付いているものを選ぶことだそうだ。
2006年のズワイガニ漁の解禁日は11月7日。一部の地域を除いて全国どこも同じ解禁である。輪島港で底引き船を持つ45隻の船主たちは、この日を境に活気づき、ほぼ2月いっぱいは昼夜を問わずカニ漁に精を出す。(※カニ漁の解禁は3月20日まで続くが、3月以降は捕れなくなる。)
ズワイガニについて言えば、輪島の漁場は港から3時間離れた遠方。舳倉島(へぐらじま)沖の水深の深いところ。粘土質であることが特徴だと言う。漁場に着いた漁師たちは、海底に網を落として役1時間引き続けた後、かかったカニを船に積む。繰り返すこと18時間から20時間。ようやくカニを満載させた船は輪島港へと帰港する。驚くことに、凪(なぎ)さえ続けば寝る間無く、港と漁場の往復を繰り返すのだと言う。しかし漁へ出られるのは冬場ではせいぜい5〜6日。稼げるときに稼いでおくのだ。
カニを食べ慣れた輪島の漁師が口にするのはコウバコガニ。「香箱」とか「甲箱」「紅筺」などの漢字を当てて書いたりもする。ズワイガニの雌である。この香箱ガニの足を残して、甲羅の内側にある未成熟の卵の内子と腹に抱えた卵の外子を酢醤油につけてかぶりつく。
そんな漁師もズワイガニの刺身には目がないのだと言う。カニ刺しが食べたいときは、天ガニと呼ばれる足が10本揃っていないものを選んで食する。市場に出してもあまり値の付かないものだからだ。裏を返せば天ガニならお値打ち価格で手に入るということだ。確かに通は天ガニを好んで買って行くらしい。
能登へ来たなら、まずはカニ刺し。透明感のあるプリップリの身が花を咲かせて食欲をそそり、ゆっくりと口に運べば濃厚な甘みがトロけるように広がっていく。あるいは香ばしさと一緒に味わうのなら、炭火で焼いたカニ身とカニ味噌。炭火でさらに甘みが引き出された身の上に、カニ味噌をちょっぴりのせていただけば、風味豊かな贅沢な味わいになる。蒸してもよし、しめの雑炊にしても良し。
さあ、待ちわびたカニ尽くしと参りましょう。
【取材協力】
JFいしかわ輪島支所 運営委員製氷冷凍副委員長 細道清一郎さん
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